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よこしまちゃんぶろぐ

自己顕示欲ビンビン丸

関係ないですが3kg痩せました

映像作品ってものは音の効果によって高揚感やときめき、恐怖感や怒りを受取手に伝える方法もあれば、対して「無音」こそがその瞬間瞬間をより忠実に伝えてくる作品もあって、その表現の幅の広さと無限に自由な可能性こそが魅力だと思っている。「君の名は。」のようにエンターテイメント性のある魅せ方で迫力を出す映画も、確かにダイレクトな感動を与える効果はある。だけど、会話や物音やその場所で聞こえてくる自然の音や、そういう、事実だけをすぐ目の前で目撃しているような感覚にさせられる映画こそ本物の「映画」だと思う。個人的な見解だけど。

2017年劇場鑑賞1本目の「沈黙 サイレンス」、マーティンスコセッシ監督、しかも崇拝するイニャリトゥ監督作品を撮っている撮影監督が携わっている作品だと知った時から絶対劇場で観なきゃ!と決めていた。期待を裏切る事なく、期待以上に費やした価値のある160分だった。この映画の感想を一言で言えばまさしく、「人間の頑なな決意の中にも本能的な弱さは必ず潜んでいる」ということなんだと思う。事実のみを如実に映し出している映像によってその普遍的な人間の真理を神への信仰の厚い人物の葛藤を通して描いていたんじゃないだろうか。劇中はストーリー展開はもちろんのこと、登場人物たちの生き様や発する言葉のひとつひとつに胸が痛んだ…。特に私は主演のアンドリュー・ガーフィールドの演技が昔から好きなのでそのこともあって余計に惹きこまれた。(彼が主演の「BOY A」も「私を離さないで」もとても好きな作品。スパイダーマンは見た事ないけど。彼に重たい役をやらせたら必ずはまり役になる!)

 

キリスト教弾圧の支配下にある江戸初期、自分たちが強く信頼している神父が日本で棄教したと噂を聞いて、それを確かめるために日本に渡航した若い神父2人がキリスト教弾圧を行う奉仕たちからひたすら苦しまされる物語。その中で2人の神父は、どれだけ日本人の切支丹(キリシタン)が処刑されても「神に祈ることが赦しであり人々を救う」という信念を貫き通すんだけれど、その信仰の頑なさがどんどん日本人の死者を増やし続けるわけで…。
キリスト教に属する者として「目の前の命を救うこと」が信徒にとって救いなのか「神への祈りを続けること」が信徒にとって救いなのか…。
命と引き換えになる信仰に、当時の切支丹たちにはどれだけの価値と意味があったんだろう。
どの宗教にも属さない無知識である私の見解だけれど、戦時下で天皇に命を捧げることは現在進行形で生きている人間を信仰するようなもの。だけどキリスト教で既に死んでいるイエス様を信仰するということは、目には見えない神を心の中で信仰し続けるために、あくまで神の使いである神父に信仰を託すということなんじゃないだろうか。

踏み絵ひとつを踏むという、それだけの行為を拒むだけで、燃やされて斬首されて吊るされて頭に穴を開けられて十字架を身体に背負って波に打ち付けられ続けて…。そこまでされても踏み絵を踏まない。日本人は他国と比べて信仰心が強いんだろうか。異常にも思える宗教への信仰心は現代にも人種柄、一部の人間の価値観に受け継がれているのかもしれないな。
どれだけの死者が出ても「自分が神に祈る続けるこそが信徒を救うこと」という神父としての使命を続けてきた若い神父2人だけれど、1人は弾圧を受けて酷く飢餓した結果死んでしまう。それも、もう1人の神父の目の前で。
亡くなった命を神が天国へ導いてくれたとしても、人間としての最期が地獄であったことには変わりない。
宗教には、人の命を奪うまでの価値はあるの?
現代なら世界の人間の大多数には理解し得ない価値観だったけれど、当時の切支丹の信仰心は痛いほど伝わってきてそれがまた痛々しかった。

死んでしまった方の神父の役作りが尋常じゃなかった。死に際の姿は本当に痩せ細って酷い拒食症の人のように骨と皮しかなかった。歩くのもままならない姿はきっと演技じゃなくて本当にまともに歩くこともできなかったように見えた。直視するのも辛いほど役者を本気にさせたのも、この映画の製作者あってのことなんだろうな。何より、あの監督でなければこの史実をここまで残酷に成り立たなかった映画だったんだと思う。

学生時代までは若者映画や恋愛映画ばかり観ていた。史実映画を自分から好んで観ることなんて絶対に無かった。だけど、年齢を重ねるごとに少しずつ色んな方向にアンテナを張れるようになってきた。
映画、音楽、美術作品…何にしろ、魅力的だと思ったものをケータイ越しに見流すのと実際にこの目で観るのとでは心に残る満足度も全く違うということがわかった。自分の世界を広げて深めていくのは、ある意味無職である今が一番のチャンスな気がする。

いくら退歩しながらでも進んでいく野心だけは捨てずにいたい。

 

 

映画『沈黙-サイレンス-』本予告 - YouTube

 

主演のアンドリュー・ガーフィールドが主演している作品で特に好きなもの↓

映画『わたしを離さないで』予告編 - YouTube

こっちはラブストーリー要素が強いです。